8月後半になると、少しずつ夏の疲れを感じる方が増えてきます。
「朝から身体が重い」
「寝ても疲れが取れない」
「肩こりや腰痛がいつもよりつらい」
「食欲が落ちている」
「冷房の中にいると身体がだるい」
このような不調を感じたとき、多くの方は「暑いから仕方ない」「年齢のせいかな」と考えます。
もちろん、夏の暑さそのものも身体に負担をかけます。厚生労働省も、熱中症予防では暑さを避けること、涼しい場所を選ぶこと、早めの水分補給が大切だと示しています。つまり、暑さによる身体への負担は決して軽く見てはいけません。
ただし、8月後半から9月にかけて出てくる不調は、暑さだけが原因とは限りません。
夏の間に続いた冷房、寝苦しさ、冷たい飲み物、屋外と室内の温度差、生活リズムの乱れなどが重なり、身体の調整機能に負担がかかっている可能性があります。
一般的に、このような夏の終わりから秋口にかけて起こるだるさや不調は「秋バテ」と呼ばれることがあります。医学的な正式病名というより、季節の変わり目に起こる体調不良を表す言葉として使われています。
なぜ夏の疲れは9月前に出やすいのか
私たちの身体は、暑い環境では汗をかいたり、皮膚の血流を増やしたりして、体内の熱を外へ逃がそうとします。
反対に、冷房の効いた室内では、身体が冷えすぎないように血管を収縮させたり、体温を保とうとしたりします。
このような体温調整は、自分の意思で行っているわけではありません。自律神経が自動的に調整しています。
夏は、
- 外は強い暑さ
- 室内は冷房で涼しい
- 汗をかいた状態で冷房に当たる
- 冷たい飲み物や食べ物が増える
- 夜も暑く、睡眠が浅くなりやすい
という状態が続きます。
つまり身体は、1日の中で何度も「暑い」「冷える」「また暑い」という変化に対応し続けているのです。
環境省の熱中症予防情報でも、屋内ではエアコン等を適切に使用して涼しい環境で過ごし、そのうえで水分・塩分補給を行うことが示されています。冷房を使うこと自体は大切ですが、冷房による冷えすぎや、屋外との温度差が続くと、身体には別の負担がかかることがあります。
「寝ても疲れが取れない」は睡眠の質が関係していることも
夏の疲れを考えるうえで、特に大切なのが睡眠です。
「睡眠時間は取っているのに、朝スッキリしない」
「夜中に何度も目が覚める」
「寝たはずなのに疲れが残っている」
このような状態は、睡眠の量だけでなく、睡眠による休養感が低下している可能性があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間が睡眠の量を反映する指標である一方、睡眠休養感は睡眠の質を反映する指標とされています。
つまり、ただ長く寝ればよいわけではありません。
夏は暑さで寝つきが悪くなったり、冷房で身体が冷えたり、夜中に目が覚めたりしやすい季節です。その結果、睡眠時間は確保できていても、身体が十分に回復できていないことがあります。
この状態が続くと、日中のだるさ、集中力の低下、肩こり、頭痛、やる気の低下などにつながることがあります。
秋バテで肩こりや腰痛が出る理由
秋バテというと、だるさや食欲不振をイメージする方が多いかもしれません。
しかし実際には、肩こりや腰痛として現れる方もいます。
その理由のひとつが、身体の緊張です。
暑さ、冷房、睡眠不足、疲労、ストレスが重なると、身体は無意識に力みやすくなります。
特に冷房の効いた場所では、首や肩をすくめるような姿勢になりやすく、背中や腰まわりも固まりやすくなります。
身体が緊張すると、呼吸も浅くなります。
呼吸が浅くなると、肋骨や背中まわりの動きが少なくなり、肩や首に余計な力が入りやすくなります。
すると、
自律神経に負担がかかる
↓
身体が緊張する
↓
呼吸が浅くなる
↓
首・肩・背中・腰が固まる
↓
肩こり・腰痛・だるさが抜けにくくなる
という流れが起こりやすくなります。
大切なのは、肩こりや腰痛を「筋肉が弱いから」と決めつけないことです。
もちろん筋力も大切ですが、夏の終わりに不調が強くなる場合は、冷え、睡眠、呼吸、身体の緊張、自律神経の負担も一緒に見ていく必要があります。
50代女性は特に注意したい理由
50代前後の女性は、仕事、家事、家族のサポート、親の介護など、自分のことを後回しにしやすい時期でもあります。
さらに、更年期前後は体調の変化を感じやすく、睡眠の乱れや疲れやすさ、ほてり、冷えなどを感じる方もいます。
そこに夏の暑さ、冷房、睡眠不足が重なると、身体への負担はさらに大きくなります。
「昔より疲れやすくなった」
「気合いで乗り切れなくなった」
「休んでいるのに回復しない」
そう感じる場合、単純に年齢のせいにするのではなく、身体が回復しにくい状態になっていないかを見直すことが大切です。
9月前に整えたい5つのポイント
1. 冷房を我慢しない。ただし冷やしすぎない
熱中症予防のために、冷房は適切に使う必要があります。厚生労働省や環境省も、暑さを避け、エアコン等を活用して涼しい環境で過ごすことをすすめています。
ただし、冷房の風が直接首や肩に当たり続けると、身体が緊張しやすくなります。
冷房を消すのではなく、
- 風向きを調整する
- 薄手の羽織りものを使う
- 首・お腹・足首を冷やしすぎない
- 室内で長時間じっとしすぎない
といった工夫をしましょう。
2. 水分補給は早めに行う
暑い時期は、のどが渇いてからではなく、早めに水分をとることが大切です。
特に汗をかく日は、水分だけでなく塩分も必要になる場合があります。環境省も、熱中症対策としてこまめな休憩や水分・塩分補給を示しています。
ただし、冷たい飲み物ばかりを大量に飲むと、胃腸が冷えて不快感につながる方もいます。
冷たいものが悪いわけではありませんが、常温の水や温かい飲み物も取り入れながら、身体を冷やしすぎない工夫をしてみてください。
3. 朝に光を浴びる
睡眠のリズムを整えるうえで、朝の過ごし方は大切です。
夏は夜更かしや寝苦しさで生活リズムが乱れやすくなります。
朝起きたらカーテンを開ける。
短時間でも外の光を浴びる。
起きる時間を大きくずらさない。
こうした習慣は、睡眠リズムを整える助けになります。
9月に向けて身体を戻したい方は、まず朝のリズムから整えていきましょう。
4. 湯船で身体をゆるめる
夏はシャワーだけで済ませる方も多いですが、冷房で身体が冷えやすい方は、湯船に浸かることもおすすめです。
熱すぎるお湯に長時間入る必要はありません。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、身体が温まり、筋肉のこわばりもゆるみやすくなります。
特に、肩こりや腰の重だるさがある方は、身体が冷えて固まっていないか確認してみてください。
5. 寝る前に呼吸を整える
寝る前は、身体を頑張らせる時間ではなく、休む準備をする時間です。
おすすめは、深く吸うことよりも、ゆっくり吐くことです。
鼻から軽く吸い、口または鼻から細く長く吐く。
肩の力を抜く。
首やお腹に余計な力が入っていないか確認する。
これを1〜2分行うだけでも、身体の緊張に気づきやすくなります。
呼吸を整える目的は、無理にリラックスすることではありません。
「今、自分の身体に力が入っているかもしれない」と気づくことが大切です。
ただし、強い不調は我慢しない
夏の終わりのだるさや疲労感は、生活習慣や環境の影響で起こることがあります。
しかし、すべてを「秋バテ」や「自律神経の乱れ」と決めつけるのは危険です。
強い倦怠感、発熱、吐き気、めまい、動悸、息切れ、急な体調悪化、水分が取れない、意識がぼんやりするなどがある場合は、医療機関への相談が必要です。
特に暑い環境で体調が悪くなった場合は、熱中症の可能性もあります。暑さを避け、涼しい場所に移動し、必要に応じて早めに医療機関や救急へ相談してください。
9月を元気に迎えるために、鍛える前に整える
夏の疲れが抜けないと、
「体力が落ちたから運動しなきゃ」
「筋トレを頑張らなきゃ」
「もっと動けば元気になるはず」
と思う方もいます。
もちろん、適度な運動は健康にとって大切です。
しかし、身体が冷えている、呼吸が浅い、睡眠で回復できていない、首や肩に力が入り続けている。
このような状態で無理に運動を増やすと、かえって疲労感や痛みが強くなることもあります。
まず必要なのは、身体を追い込むことではありません。
呼吸を整えること。
身体の力みを抜くこと。
冷えや血流の状態を見直すこと。
無理なく動ける姿勢をつくること。
つまり、鍛える前に整えることです。
LIFE SMILE GYMでは、肩こりや腰痛、疲れやすさを単なる筋力不足として見るのではなく、呼吸、姿勢、身体の緊張、自律神経への負担を確認しながら、その方に合った身体づくりをサポートしています。
「夏の疲れが取れない」
「9月から元気に動きたい」
「肩こりや腰痛を年齢のせいにしたくない」
そんな方は、秋になる前に一度、ご自身の身体がきちんと休める状態になっているか見直してみてください。
夏の終わりの不調は、身体からのサインかもしれません。
9月を軽やかに迎えるために、まずは呼吸と身体の緊張を整えることから始めていきましょう。

【執筆者情報】
石橋 侑汰(いしばし ゆうた)
1999年1月生まれ 町田市玉川学園出身
関東大手フィットネスクラブの正社員を経て同クラブで業務委託として独立。独立1年でクラブ売上No.1の実績を持つ。この実績と経験から地元玉川学園に姿勢改善パーソナルジム“LIFE SMILE GYM”を2024年2月にオープンさせる。街の健康係として健康と笑顔を皆様に届けます。

